*家族という集団

私は家族療法カウンセラー・うつ病アドバイザーの資格を持ち、カウンセリングルーム「アルク鳥相談室」を主宰している。これまで、35年ほど保育士をしていた。

乳児(0歳児~2歳児)10年、幼児(3歳児〜5歳児)12年、小学生を13年間保育してきた。そして、その家族とも深くかかわり、共に子どもたちの育成を担ってきた。


家族は、さまざまな関係性で成り立っている。そして、多様な人格が交差し合いながら、生活を営んでいる。だから、子どもたちの性格もそれぞれ違い、個性が育っていく。

「個性的な子どもに育つ保育・教育を!」などという、教育スローガンみたいなものがあるが、元々すべての人には個性があり、自然と社会にもまれながら育っていくものだと思う。

「家族は仲がいい、兄弟姉妹は仲がいい」は幻想である。人間の嫉妬は1歳頃から生まれると、私は思う。だって、弟か妹がお母さんのお腹に入り出産すれば、1歳で兄か姉になるのだから。


「お兄ちゃんなんだから、お姉ちゃんなんだから」と言い続けて、下の子どもだけをかわいがったり、逆に、第1子だけを大切にしすぎると、確実に嫉妬が生まれてくる。そして、兄弟姉妹を何かにつけて比較していくと、嫉妬が助長され「悪」が育っていくように思う。

少々、辛口の子ども論を述べているが、人間の人格は、家族という集団の中で基礎ができ、保育園・幼稚園や学校という大きな社会で、鍛えられていくものだと思う。家族は、子どもが初めて出会う集団である。集団は2人から集団で、親1人子1人のひとり親家族も集団である。

日本におけるユング心理学の第一人者である、故・河合隼雄氏が「子どもと悪」という著書で、語っている言葉をご紹介しよう。

まんびきはしたことはないけど わたしは人の心をぬすんだ
ぬすんだことも気づかずに

部屋にかぎはかけないけど 私は心にかぎをかける
かぎのありかもわからずに

うそはついていないけど 私はほほ笑んでだまってる
ほんとの気持ちをだれにも言わずに

いい子だから 私は悪い子