*在日する人々と共に

川崎市川崎区という地域は、戦前、戦中、戦後を通して、朝鮮半島出身者の、在日韓国・朝鮮人が多く住む、土地柄である。

私は小学校、中学校、高校と、かならず在日韓国・朝鮮人の友だちがいた。日本名(通称名)を使っていた子が多かった。

家族が焼き肉店を経営していたり、「あたしのお父さんとお母さん、韓国人なんだ」と、告白されたりした。そうなんだぁ、と思いながらも、自分の家族とは少し違う、家族状態を受け入れいるのに、戸惑ったこともある。

高校卒業後、どんな職業につこうか迷っていた頃、友人を通して、社会福祉法人青丘社(せいきゅうしゃ)に出会った。園長先生は在日韓国人、保母(保育士)もほとんど在日韓国・朝鮮人。日本人保母(保育士)は一人だった。

ちなみに「青丘」は、中国からみた東方の地域諸国をさし、また、朝鮮半島地域を示す言葉である。

その状況に、思いっきりダイブする気持ちで、保母(保育士)として就職をした。保母資格がないにもかかわらず。後に、資格試験を受けて取得した。

私は異文化経験だと思い込んでいたが、何年か保育業務を必死にこなすうちに、朝鮮文化と日本文化の共通性を、見い出せた。

だから、異質観より共通観を楽しんだ。

キムチは辛いけど、日本の白菜の塩漬けと似ている。「チジミは、てんぷら粉を少し使うとカラッと焼けるよ」と、ハルモニ(おばあさん)に教わった。

ご飯に味噌汁を入れる汁めしは、クッパではないか!

今現在、差別意識にがんじがらめになって、ヘイトスピーチを叫んでいる人々は、在日の人々と接したことはないのだろうか。

隣人として、友人として、交流した経験がないのか、敵対したい観念が先に立つのか。どちらにしても、コミュニケーション能力がない、と思う。

レイシズムは、あらゆる属性を固定的に見て、自分の解釈で、当事者を攻撃してくる。人種、民族、性差、障がい者、貧困層、等々。モノの見方が一方通行で、観念優先だから、支配したい感情がストレートに出るのだろう。

私が暮らし、仕事している川崎区は、さまざまな民族、人種の人々が住んでいる。同じ民族で家族を構成しているとは、限らない。

パパは日本人、ママはフィリピン人。アボジ(お父さん)は在日韓国人、ママは中国人、等々。民族的な複合家族が、存在している。

その子どもたちを、ハーフではなく、ダブルと私たちは呼んだ。

日本政府は2019年4月1日から、入管法を改正して、外国人労働者を大幅に受け入れる。その家族の子どもは、ほとんど、日本の保育園や小学校に入るだろう。

排除ではなく、地域のメンバーとして。異文化を楽しみ、学ぶ存在として、受けとめていこうではないか!

私の母は、山梨県の身延町で育った。そこに流れる早川のダム建設に、アジア・太平洋戦争中に、たくさんの朝鮮人(当時)が働いていた。

小学校分校の朝鮮人の友だちが、事故で亡くなった。分校全体でお葬式に行ったとき、「アイゴー、アイゴーって家族が泣いてたんだよ。本当にかわいそうで、みんなで泣いたよ」と、子どもの頃から聞かされた。

アイゴーとは朝鮮語で、感極まった時に発する言葉。

子どもの頃から、母に聞かされていて、良かった。今の自分があるのは、この言葉のおかげかもしれない。