*家族療法、家族心理学とは

私が、家族療法を学ぼうと思ったきっかけは、周囲で家族関係で悩んでいる人が多かったこと。家庭内暴力や暴言などによって、精神的に追いつめられた人がいたことだった。

また、それに輪をかけて、社会的差別やプレッシャーに、押しつぶされそうになっている情態の人が多いからだった。

地域に根ざした保育・教育実践を行うには、理論先行より、実践力の質や、人の心に感応できる能力が問われる。

「○○すべきだ」「○○することが望ましい」という趣旨で実践を行うと、どこかで道を誤ってしまう。正論を主張しても、悩んでいる人には受け入れられない。また、プレッシャーを与えてしまう結果となる。

家族療法は、1950年代にアメリカで始まった。この時代は、フロイトの精神分析による臨床実践が始まって、半世紀たったころだった。個人の精神のみにアプローチするのではなく、家族全体の関係性を対象にして、アプローチしていく療法だ。

フロイトの精神分析は、個人の人格や記憶など、いわゆる「精神疾患」の原因は、個人の内(脳神経)にあると考えた。

それに対して、家族療法は、家族間のコミュケーションのあり方によっては、生きづらさを抱えた存在が出現してしまう、という考え方だ。

だから、人間のパーソナリティーは、千差万別である。家族の関係性も、千差万別だ。

人間は人間の中で育つ。

家族というくくりに必要以上にとらわれていたり、家族の理想像を押しつけたりすると、必ず、苦しむ存在がで出てくる。

その存在は、子どもや青年が多い。非行にはしったり、引きこもりになったり、うつ的情態になったりする。

その状態を、当事者のパーソナリティーや、保護者の育て方に、原因を追究してしまうと、改善策を見い出すことはできない。

1990年代以降、アメリカやヨーロッパでは、家族療法は医療機関だけでなく、学校現場や児童福祉施設、老人福祉施設などでも実践されるようになった。

日本では家族療法を広めるために、「日本家族カウンセリング協会」「日本家族心理学会」など、様々なNPO法人や社団法人が存在し、活動している。

また、解決志向アプローチ、ブリーフセラピー、ナラティブアプローチ、オープンダイアローグなど。観察と実践に基づいた家族療法が、アメリカ、ヨーロッパで研究され、生みだされてきた。

日本でも徐々に、その実践方法が伝播していて、新たな取り組みをしている地域団体や、セラピスト養成団体が活動している。

私も、いくつか経験したが、自分の生育歴や、気づかない心の内を、認識することができた。

アルフレッド・アドラーは、アドラー心理学として、日本においては、この10年ぐらいで有名になった。フロイトやユングと同時代の研究者だが、これまで2人の業績に隠れて、なかなか、陽の目をみなかった。

でも、人間の成長には共同体感覚が重要であると、主張し続けた。そして、子どもの家族内教育や、公的教育機関に働きかけ、熱心に教育問題に取り組んだ研究者であった。

=アドラーの言葉から=

子どもたちに もっと勇気と自信を与えることで

また 子どもたちに困難は克服できない障害ではなく

それに立ち向かい征服する課題であると 見なすよう教えることで

すべての子どもたちについてその精神的な能力を 

刺激する努力をすることを 主張する